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Vol.33 Vol.34 Special Interview HYPER GIRL 能年玲奈 RENA NOUNEN

HYPER GIRL 能年玲奈 RENA NOUNEN

Photo:Tomokazu Sasaki(nomadica) / Hair & Make up:Hironori Hirai / Styling:Junko Okamoto /
撮影小道具:PiCS’N'PROPS®(Nihon Hallmark)

「演技オタクです。」囁くような声で、自分のことを“オタクに例えると”という質問に、瞳を輝かせながら答えてくれた女優、能年玲奈21歳。若い人はもちろんのこと、今や全国のお年寄りまで、彼女の顔を知らない人は多くない。そう、2013年NHK連続テレビ小説『あまちゃん』でヒロインを演じた彼女。
これだけの国民的女優として注目されている立場でありながら、それを意識している様子は全く感じさせず、ひたすら表現すること、ひたすら演じることに真っ直ぐ向き合っているのが、本誌の撮影でも伝わって来た。

小さな声で優しくインタビューに答える彼女の印象とは違い、カメラ前に立つと心解き放たれたかのように、シーンをのびのびと求められる以上の表情やポージングを魅せてくれる。彼女の表現の爆発力は、止まらない。
まさに自分自身をオタクに例えると“演技オタク”と語るのが理解出来る。女優、能年玲奈、彼女の“今の姿”から“未来”が見えてきた。

2014年、伝説の少女コミック『ホットロード』の実写映画化の主演で話題を集め、映画という舞台で女優、能年玲奈の力は発揮されている。そして同年12月27日公開の映画『海月姫』(くらげひめ)では、オタクな女子という役柄で主演を務めた。

「この作品のオファーをいただいて、コメディが出来ると思って、ワクワクしました。」
コメディを演じることが好きかと尋ねると、「はい!」と短い返答。
しかし、キラキラとした瞳の奥には、「大好き!」という想いがあることが伝わって来る。今回初めてオタク女子 月海(つきみ)を演じた彼女、役柄についての捉え方、考え方から、能年玲奈の魅力が直ぐさま伝わってきた。

「オタクについて、これまで深く考えたことがなかったんですけれども、オタクと呼ばれる方は、一点に凄く集中力がある人達だと思います。」月海を演じ、とても楽しかったと答える能年玲奈は、その主人公を生きてきたかのようにイキイキと主人公の思いを語ってくれた。

「私が演じた月海(つきみ)ちゃんは、本当に他はダメダメなのに、好きなことになると、凄い集中力を発揮する。月海ちゃんと暮らすオタク女子は、凄くパワーを放出する人達。だから、はじめてオタクの強みで、困難を乗り越えられる。
その爆発的なオタク女子達のパワーが、青春だなって、凄く良いなって思いましたね。」

HYPER GIRL 能年玲奈 RENA NOUNEN

ストーリーの最も重要な見どころ、魅力を柔らかい口調で語った。
オタク度を強める演技の為に、彼女自身、かなり参考にしたのが“お笑い”だと言う。

「誇張したものから研究したかったので、お笑い芸人さんのものを見たりしていました。
特に見たのが、ドランクドラゴンさん。塚地さんがやっていらっしゃるようなのとか。あと、柳原可奈子さん。声優さんのイベントの風景、ネタとかを見て、研究しました。映画の中のオタク女子は、凄く“見ないで”と言う時に、本当に何だろう、いきなりシャットアウトするところがあって、その場にいるのに嫌なことがあると“自分はいません!”みたいないきなり心を閉ざす感じの面白さを、とにかく研究しました。」

嬉しそうに話す彼女は、冒頭でも出てくる“演技オタク”だ。

「この映画に出てくるオタク女子達のパワーが暴力的なところ。それが原作である大ヒット漫画『海月姫』のファンを魅了するところで。」ニコニコとしながら、話続けた。
「女の子って結構意外とガサツで、大雑把だと思うから(笑)。」決して背伸びすることもなく、21歳の彼女が見つめる役柄、作品の捉え方、それは鋭く、深い。本誌の撮影現場でも、彼女の口数は多くない。

だけれども、撮影の小道具を持ち変えるごとに、爆発的といえるほどの様々な表情が生まれる。
ひげ好きな彼女が、様々なタイプのひげプロップスを手にすると、いくつものユニークな顔を魅せ、パーティーグッズを手にすれば、自然と体が動きだす。エアギターをしたり、踊ってみせたり、まるで漫画から飛び出したかのようなイキイキとしたクリエイティブな動き、その迫力は、観る者が魔法にかかったかのように、ぐいぐい引き込まれる。目が離せない。

次は何を魅せてくれるのか。ずっと観ていたい。そう観る者を思わせる能年玲奈のエネルギーは、ドラマであろうと、映画だろうと、グラビアであろうと、彼女が演じはじめると、そのエネルギーは放出され、表現となって爆発するのだ。

そんな今回の映画でも爆発的なパワーで演じた、役柄と自身の性格で共感する部分を尋ねると笑顔でこう答えた。
「そのいきなり周りにお構いなしになる感じは、似ていると思います。それまで人と接するのが苦手でどもっちゃうのに、興味があるといきなり、そんなのすっ飛ばして暴走しちゃう感じ。共感します。」

さらに映画でも多く登場するミシンのシーン、裁縫が趣味の能年玲奈。忙しい合間でも、この間はワンピースを作ったと話してくれた。「ミシンをやっている時とか、私、ギターを弾くんですけれども、そういう時はのめり込んじゃいます。」

演技はもちろん、能年玲奈がロックオンしたことへの集中力は、半端ではないようだ。
さらに自身の性格を面白く表現した。「“純粋悪”なところ。」があると。そのユニークな単語“純粋悪”とは、「私は、“悪いちゃん”って呼んでいるんですけれども、何か子供みたいな悪というか。無邪気に何かひどいことをする感じをそう言っています。友達といる時に、何かいじめたくなったりとか、そこに悪気はあるんですけれども、そこに悪意がないみたいな。」
能年玲奈が言う、“純粋悪ちゃん”こそが爆発的な演技を生む、“源”なのかもしれない。