TOPエンターテイメントOmosan Angle vol.22 増田セバスチャン

Omosan Angle

オモサンアングル -フォトコラム-

オモサンエリアで活躍する
クリエイターのフォトコラムを紹介します。

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90年代末。原宿の歩行者天国が廃止され、
僕たちは集まる場所を失ってしまった。
その後、ファストファッションが原宿に進出し、
街の個性がだんだんと薄まっていく00年代に突入していく…

一気に色が失われたこの街を見て、僕は
「原宿は終わった」と思っていました。

しかし、海の向こうでは、原宿やkawaiiという
日本独自のカルチャーがいつの間にか広がり、
いろんな国の言葉で僕のところにメッセージが届くようになりました。
「原宿が大好き!あなたのショップが大好き!私の国にも来て!」
送り主はどれもカラフルな服を着てカラフルな髪の若い女の子達。
原宿のスピリッツは簡単に消えたわけではなかったのです。

僕は、とにかくそんな彼女たちに会って生の声を
聞いてみたいと思いました。
そうして始まったのが、現地の女の子とワークショップを重ねながら
1つのファッションショーを開催する、
「Harajuku"kawaii"experience」というワールドツアー。

日本人は、時として外国に対する憧れやコンプレックスが強いものです。
しかし、僕が直接世界の各都市を廻って感じたのは、
今こそ日本独特の感覚が必要とされている!ということでした。
僕が世界に伝えたいのは、「原宿」の自由なスピリッツや
「kawaii」という日本独自の感覚。
これは、1つの街に溢れていたエネルギーから生まれた小さな現象が、
やがて世界に波及し、国を代表するカルチャーとなって
発展を遂げたという、
世界にもあまり例のない素晴らしい文化なのです。

若い世代が持つエネルギーは、いつの時代もどの国でも不変で、
必ず大きな力を持っています。
その矛先が、争いではなく、新しいものを生み出す
クリエイティビティにつながって欲しい。
そうすればきっと文化や感覚が豊かに育ち、平和な世の中に近づくはず。

その中心はこの「原宿」の街だと、僕は信じています。

写真・文 / 増田セバスチャン

増田セバスチャン

アートディレクター

1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年に表現の一環として"Sensational Kawaii"がコンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年より原宿カルチャーを世界に発信するワールドツアー「Harajuku"Kawaii"Experience」を開催。原宿、Kawaiiカルチャーの第一人者として、執筆・講演多数。2011年きゃりーぱみゅぱみゅのアーティストデビュー時よりPVや番組の美術、ライブツアーの美術・演出を担当。TOWA TEI「WORDY」PVの美術監督、NHK「Kawaii International」のアートディレクター、展覧会「もうひとつの内藤ルネ展」のディレクションを担当するなど、同カルチャーを土台としたアートディレクションを行っている。2012年10月公演の宮本亜門演出のミュージカル「ウィズ~オズの魔法使い~」アートディレクター就任。

http://m-sebas.com/