私の中の東京は南青山という地。
東洋の中でも日本。日本の中でも南青山からスタートした事は、
偶然に選んだというよりむしろ必然だったのではないかと今は感じている。

デンマークで培ったフラワーデザインを
日本でビジネスとして本格的に展開する場所として
アトリエとして住まいとして選んだのは、南青山3丁目の小さな路地裏。
そこは人通りが少ないオフィスビルが連なる一角で、
何時、誰が来ても新鮮な花でブーケやアレンジメントを作り
ディスプレイしていた。

当時は時間にとても余裕があったため、今よりもじっくりと
花と触れあい、人と触れあい、街と触れあい・・・。
誰も入ってこないアトリエを毎日きれいに魅せるだけで、
何時の頃からか人が訪れる様になり、
ファッションブランドのヘッドオフィスが多くあるためか
感度のいい人々との仕事が多くなり刺激的な毎日がはじまった。

一方オフの日には、坂が多い地形のためか、
建物と建物の間の路地や道がとてもユニークで
お気に入りの場所を探したり、
墓地や街路樹から日本の四季を感じたりと
いろいろな感覚をこの街は教えてくれた。
そのどれもが、刺激的で楽しく、この地で活動を始めたからこそ、
今のフラワーデザインに行き着いた。

すごいスピードで変化してゆく東京の中で、
もう少しおだやかな時間が流れている場所。
ファッションやアート、カルチャーが交差して新たな物が誕生する場所。
街路樹やイルミネーション、ウィンドウディスプレイなど、
四季折々で表情が変化する場所。

そんな南青山に2010年に念願のフラッグシップを構え、
拠点として活動を続けている私は、この先も南青山にこだわっていきたい。

写真・文 / ニコライ・バーグマン