TOPエンターテイメントOmosan Angle vol.21 伊藤 羽仁衣

Omosan Angle

オモサンアングル -フォトコラム-

オモサンエリアで活躍する
クリエイターのフォトコラムを紹介します。

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ウエディングドレスデザイナー。
私がこの道を選んだのは、元々、服飾デザイナーだった父親の影響が大きい。幼いころからデザイン画を描きはじめ、あらゆる分野のホンモノにも触れさせてくれた。

10年前、地元の札幌で店をオープンしてからも、ずっと二人三脚で歩んできた。その父が亡くなったことで、私の新しい挑戦が始まった……。

2010年に東京へ進出。北青山に「THE HANY」をオープンさせたのだ。

わざわざこんな一等地を選ばなくてもと、周囲には猛反対されたけど、
私には、これだけは譲れないという"こだわり"があった。
そこは、父がかつて自身の店舗を構えた場所、
日本の中心で自分の才能を試せるチャンスと、意欲を燃やしていた場所、
そして、志半ばにして去らなければいけなかった場所、
どうしても、この場所で勝負がしたかったのだ。

もうすぐ、東京に出てきて丸二年を迎えようとしている。
私をとりまく環境は、いまもめまぐるしく変化しつづけている。

普段は、明るく、元気で、HAPPY!で、それが私の代名詞のようになっているけど、驚くなかれ、私にだって、煮詰まるときや、
ひとりになりたいときもあるのだ。
そんなときは、何も持たずに店をあとにし、
ブラブラと散歩に出かける。

表参道は不思議な通り。
ただ歩いているだけで、いつの間にかモヤモヤが身体の中から抜けていき、
一瞬、"無"になると、
今度は、街路樹の緑からキラキラと放出される
"ちから"のようなものが全身に吸収されていく感覚に陥る。
「よし!」
そこからは、ひとりでニヤニヤしながらの帰り道。
大きくて温かい父の笑顔を思い出す。
そして、いつもの自分の笑顔を取り戻せる。
世界一かわいい花嫁さんになる女の子たちのために。

表参道は、私にとって間違いなく
とっておきの「パワースポット?」なのだ。

写真・文 / 伊藤 羽仁衣

伊藤 羽仁衣

ウエディングドレスデザイナー

北海道出身。デザイナーで実業家であった父、故・伊藤元一の影響を受け、幼少の頃よりドレスデザインを手がける。13歳で毎日モードコレクションにオリジナルドレスを発表。2003年、22歳の時に札幌『HANY WEDDING』オープン。2010年、東京青山に『THE HANY』をオープン。幼い頃から"本物"を見ることで養われた審美眼とセンスで、自ら世界中を歩き回りドレスの生地や素材を全てセレクト。「世界で一番エレガントで美しく可愛い花嫁様を作る」というコンセプトのもと、個性溢れるデザインで新しいドレスを次々に、生み出し続けている。木下優樹菜さん、ほしのあきさん等の芸能人のウエディングドレスを手がけるほか、現在は、パティードレス、招待状、鞄のプロデュース等にも力を注いでいる。

http://the-hany.jp/