TOPエンターテイメントOmosan Angle vol.29 ひびのこづえ

Omosan Angle

オモサンアングル -フォトコラム-

オモサンエリアで活躍する
クリエイターのフォトコラムを紹介します。

NEWS TOPICS

自宅も仕事場も表参道から徒歩15分圏内で私の生活の全てが表参道に集約しています。
住み始めて16年、事務所を今の場所に変えた2003年6月にPRADAのビルが完成して、私の仕事場の借景になりました。
ヘルツォーク&ド・ムーロン設計の菱形の斜め格子から、ぐにゃりとガラス面がはみ出て、それが連なるユニークでクリエイティブな建築が私は大好きで、
いつも眺めてガラスに写る空の変化と一緒に楽しんでいます。
彼らは上海オリンピックでも通称、鳥の巣と呼ばれる競技場を作って話題になりましたが出来る事なら2020年の東京オリンピックまで暖めておいて欲しかったぐらい。

毎朝、西麻布の自宅から自転車で仕事場に向かう途中に根津美術館が有ります。2009年秋に隈研吾の建築でリニューアルする少し前までは、自由にお庭を散策出来、日本の庭作りの文化と四季を身近に楽しめたのですが、全てが塀の中に入ってしまいました。
その先には今では表参道ヒルズの設計で有名ですが、安藤忠男の建築、
コレッツイオーネのコンクリート打ちっぱなしのビルが有り、
私は地下のフィットネスへ毎週ヨガに通います。急な階段を降りる度に少し恐いと感じます。

青山通りを自転車で走るとかっこいい東京体育館をリノベーションした槇文彦建築のスパイラルビルがあり、1階の円形空間は自然光が天井から入り開放感のあるスペースが広がっています。
色んな展覧会やイベントで毎回表情を変え、常に新鮮な空気を感じる場所です。私は仕事の途中でブラリと訪れ刺激や憩いを持ち帰ります。

その斜め先には下が細くて上が大きいと言う信じられない不安定な形のAoビルが建ち、夜にはライトアップされて、さらに不思議な出で立ちですが、いつかそれもランドマークになるのでしょうか。
表参道から原宿に向かうと見えるのが青木淳建築のルイ・ヴィトンのビル。
高級感マックスの佇まいに入るのを躊躇しますが、その最上階にはスタイリッシュなギャラリーが有って直通のエレベーターで上がるとダイナミックなアートの背景に青山の空と裏側を眺めるのが好きです。

今では有名建築家オンパレードの街ですが、私がこの街に越して来た時には
趣きの有る洋館や古いけれど丁寧に住まわれている木造の家、
手入れされた庭には美しい植物が四季を知らせてくれていて何処か懐かしい街だったのですがね。

写真・文/ひびのこづえ

ひびのこづえ

コスチューム・アーティスト

静岡県生まれ東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。コスチューム・アーティストとして広告、演劇、ダンス、バレエ、映画、テレビなどその発表の場は多伎にわたる。NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」のセット衣装を担当中。歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」衣装、野田秀樹作・演出「MIWA」衣装担当。「LIVE BONE」森山開次×ひびのこづえ×川瀬浩介によるダンスパフォーマンスを展開中。4月5日から5月1日愛知県ギャラリー数寄にて個展。4月26、27日福岡にてワークショップ開催。

http://www.haction.co.jp/kodue/