オモサン 読書のススメ
青山表参道の本屋さんに聞いた
今おススメの本を厳選して紹介します。
「ちょっと切ないラブストーリー」はこの8冊!
“読書の秋”が到来!活字をじっくり読まなくては“読書”でないと思いがちですが、本を見ることも“読書”と呼んでも良いのではないでしょうか。
今回は、文字はもちろん、写真や絵で表現されたラブストーリーをご紹介致します。
恋愛の仕方や愛し方は、人の数だけあります。一癖も二癖もある物語が、優しいメッセージを届けてくれるでしょう。
100万回生きたねこ
佐野洋子 / 講談社 / 1,470円
100万人の飼い主に飼われて、そのたびに生まれ変わった猫。100万回生まれ変わった猫が知った、「愛する」という感情。それによって、猫が選んだ選択肢は…。「愛すること」、「愛されること」、「生きること」の意味が、短い物語の中にギュッと詰まった本です。
あとは泣くだけ
加藤千恵 / 集英社 / 1,365円
若手歌人が贈る7編の短編集。ボールペン、缶詰、バロウズの本。プレゼントされた物をきっかけに思い出される記憶は、忘れていたのか忘れようとしていたのか。好きという気持ちだけでは生きていけないけれど、「好き」を大切にしたいと願う人達の物語です。
夏雪ランデブー
河内遙 / 祥伝社 / 各980円
主人公の青年と花屋の女店長と元夫との「奇妙」な三角関係。三者三様の愛し方はどれも切なく、「自分も一心に誰かを愛したい」と思わされます。河内遙氏の表現力・構成力も抜群で、普段コミックを読まない人にも読んでもらいたい、切ないラブストーリーです。
二十五の瞳
樋口毅宏 / 文藝春秋 / 1,470円
小豆島の美しい風景を舞台に、奇怪な生物「ニジコ」の伝説とともに繰り広げられる悲しい4つの 愛の物語。史実と創作が入り乱れた内容に、気づけばどっぷりハマってしまいます。奇才・樋口毅宏氏にしか描くことの出来ない、まったく新しい文学です。
話の終わり
著・訳:リディア・デイヴィ 岸本佐知子 / 作品社 / 1,995円
終わってしまった彼との恋愛を小説にすべく、頭の中にある記憶を、克明かつ執拗に書き連ねる主人公。思い出すままに淡々と細かく描写しながら、恋愛が終わってしまったことを受け止め、先へ進もうとする様は、静かに深く重く胸に刺さります。
人魚姫
原作:アンデルセン 絵・訳・写真:清川あさみ 金原瑞人 鈴木理策 / リトルモア / 2,100円
本書で、「人魚姫」は子供はもちろん、大人こそより愉しめるラブストーリーだと気付きました。布、刺繍、ビーズによって紡がれる清川あさみ氏のテキスタイル作品は、どのページでも幻想的な色彩で人魚姫の気持ちを表現しています。作品集としても愉しめる1冊です。
きみはポラリス
三浦しをん / 新潮文庫 / 580円
どれも一筋縄ではない恋愛短編集。主人公たちは、心の中で言葉では定義できない感情を育て、ある時それが愛だと自覚します。症状は千差万別、愛し方は十人十色。「王道」「信仰」などテーマによって書かれた物語からは、恋するパワーと勇気をもらえます。
僕のアルバム
植田正治 / 求龍堂 / 2,415円
「Ueda-cho (植田調)」として世界的にも有名な写真家・植田正治氏。植田氏の没後に見つかったネガの中から、彼が愛してやまなかった妻と家族の写真を中心に編集した写真集。やさしい表情の夫人を見ていると、いつまでもこういう夫婦でありたいと思います。