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Kasumi Arimura

Special Guest

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Vol.29 Special Interview I Love Actress Kasumi Arimura

I Love Actress Kasumi ARIMURA Photographer:Tomokazu Sasaki(nomadica) Hair&Make up:Izumi Omagari(STORM)

日本中のお年寄りから若者まで、若干二十歳の彼女を今や知らない人は少ない。昨年、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』では、その名を全国に知らしめた。そして2014年、“若手演技派女優”“今年の顔”と各メディアに取り上げられている大注目の女優、有村架純。

ファッション誌の撮影が終わったPM7:00、疲れた様子ひとつ見せず、彼女は現れた。スタジオの空気をやさしく包み込むような存在感。

澄んだまっすぐな瞳で、有村架純は我々のインタビューに、丁寧に答えてくれた。
“私、デビューは4年前なのですが、一つ一つの作品に目標を立てて取り組んできた4年間で、必死でした。とにかく変わらなきゃいけないし、変わりたいっていう気持ちでずっと取り組んできて。その中でいろいろ悩んだりすることもありましたけど、ずっとそういうスタンスでやってきて、そこで『あまちゃん』という作品に出会いました。『あまちゃん』では、出番は少ないけれど、絶対に印象に残るお芝居をしようと思っていました。”
昨年、あれだけ日本中を夢中にさせた『あまちゃん』ブーム。そのドラマでも、重要な役柄だった彼女に、自身がブレイクしたという印象について尋ねてみると、驚きの答えが返ってきた。
“何か、いまいち「ブレイク」というのがよく分からなくて。何を基準に「ブレイク」なんだろう…ていう。それなのであんまりそういったことは意識していないです。でも街を歩いている時に、おばあちゃんとかご年配の方に声を掛けていただくと、『あまちゃん』のドラマの影響ってすごいなって実感したりはしますね。”
その答えは、控えめということではなく、まさに彼女がそう感じていること。一つ一つ、作品ごとに向き合ってきたことを証明している。

有村架純が女優を目指したきっかけは、中学生の頃、同世代の女優出演したドラマを観たことだ。この道に進んだきっかけは、意外に軽い気持ちだったという。
“同世代の方が出演しているドラマを観ていて、「自分だったらどう演じるかな?」っていう軽い気持ちだったのです。それでオーディションを受けて、最終審査まで残って。私一人だったので、「あ、もしかしたら、これいけるかもしれない…!」と、期待をしていました。それが、オーディションの結果が、なかなか来なくて。「まだかな、まだかな…」って一ヶ月ぐらいですかね。そして、一ヶ月後ぐらいに「一年後に、また会いましょう」と言われて…。
「一年後に、また会いましょう」って、つまり不合格という事じゃないですか。それで、ズドーンって、凄い気持ちが落ちたんです。一種の挫折を味わったというか。相当悔しかったです。でも、それがあって余計に燃えたというか…。”
オーディションを受けてみようと思ったのは、ただ単に「お芝居が楽しそう」という気持ちだけだった。その小さな思いが、4年後には注目の女優にまでなる、スタートとなったのだ。そして何より、彼女の負けず嫌い、芯の強さを感じさせる。

女優として専属の事務所が決まるまで、有村はオーディションを受け続けた。

その時の心境を彼女は楽しそうに語ってくれた。
“ワクワクはしていました。凄く落ち込むところまで落ち込んで、やる気も全く無くなりました。だけど、そんな時、母から「アンタがそんなんで、どうすんの!」って怒られて。それがまた悔しくて(笑)。もう絶対頑張る!と思いました。
オーディションを受け続けていた時は、自分のやりたいことが初めて見つかって、そこを目指して頑張っていたので、その時の自分はイキイキしていましたね。”
有村にとって当時、

オーディションに落ちた辛さよりも、自分の目標、夢が見つかったこと、そしてその目標に向かって努力することの方が嬉しく、幸せだったのだ。

“当時は、女優になるという夢を叶えるまでは、「絶対諦めたくない!」っていう想いだけはありました。その他には自分を磨くことだったり、いろいろな映画や作品を観たり、どうすれば、写真写りが良くなるかなどを、自分なりに一生懸命研究したりしました。
オーディションを受け続けていた頃、実は私、友達には何も言っていませんでした。誰にも。だから友達に精神的に支えられたということもなく、他の誰か周りに支えられたというより自分の心にある、女優という職業に対する憧れの気持ち、それだけが自分自身の支えだったと思います。
自分も映画やドラマに出て、この場面に出ていたいな、ここに立っていたいな、こういう女優になるんだ、とか常に自分が女優になるというイメージはしていました。”
有村架純の年頃なら、友達に相談をして、話を聞いてもらうことは多いはずだ。それなのに彼女は、誰にも言わず、自分の想いだけでチャレンジし続け、女優の道を自らの力できりひらいたのだ。芯の強さ、女優という仕事への思いがどれだけ大きかったのかが、図り知れる。

そして女優として数々の役を演じる今、有村が志す女優像について聞いてみた。
“女優を目指している時はテレビやドラマ、映画に沢山出て、主演もやる、みたいな漠然とした想いしかなくて、考えも甘かったと思います。でもこの世界に入って、お芝居がそんなに軽い気持ちではできないということを学んで、そういう気持ちじゃダメなんだなって思いましたし、具体的な目標がないとダメなんだなと思いました。
今は、1年ごとに目標とすることが、だんだんと変わっては来ています。演じる上で特に大切にしていることは、自分が思うものを100%出し切りたい、っていう想いは常にあります。自分の中では、まだ思うようにいかないこともいっぱいありますが。自分が演じている人物がどういう感情でいるのかをきちんと読み取って、それを思い切り表現する。ただそれだけです。
エネルギーというか。それでも作品ごとに向き合っていると、まだ全然エネルギーないなとか思うし、自分の足りないところを見つける方が早いです。”
有村自身、今の自分に何か必要なのかよくわかっている。すべきことが、すぐに感じ取れている。そしてそれに向かって努力する。どん欲に自分の今、この先を客観的にみることが出来ているのだ。

つまり、彼女が成長、進化し続けることは当然なのだ。

そんな有村に女優の仕事の魅力を尋ねると、嬉しそうに彼女は語った。
“自分じゃない人の人生だったり、自分にはない感情になったりすることですかね。その魅力が外に発信するものかは分からないですが、私自身としては、いろいろな感情を知ることができる、それも、「自分だったらこういう気持ちかな」って自分とすり合わせて考えることもあれば、全く自分にない感情を探し出して、「あ、こういう気持ちってあるんだ」って色々発見できるっていうのがとても面白いです。
例えば、自分が思っている怒りのベクトルがあるレベルだとしたら、もしかしたら演じる役柄の怒りのベクトルはそのレベルよりも、もっと上かもしれない。全部自分にすり合わせて考えちゃうと足りないものが埋められないと思うので、自分を超えるものを出していかなきゃいけないなと、ずっと考えています。結構一人でいる時間が多いので、そういう時にいろんなことを考えています。
また、ドラマの撮影の時は、自分が思うものを思い切り出せてはいるのですが、家に帰ってまた考えてみると、うーん…ってあれこれ考えたりします。役を自分に近付ける時もあれば、役を自分から離す時もありますし、そういう所がすごく面白いです。そういった意味では、自分にない部分を持っている周りの人の言葉や経験を聞くことで、自分にないものを探せると思います。”
自分というものさしを時には使わずに、様々な役柄の心、想いを想像する。二十歳という若さには、かなりエネルギーのいる作業だ。ビジネスシーンでも相手の立場にたって考えるなどと良く聞くフレーズだが、オトナですらなかなかそれができず苦労している。