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Special Guest

スペシャルゲスト

Vol.35 FOCUS NOW Always Dramatic life KENTO KAKU

Focus Now KENTO KAKU Always Dramatic life

Photo:Akiko Sameshima (nomadica)/Hair & Make up:Masako Shibuya (vitamins)/Styling:Shogo Ito
衣装協力:ジャケット38,000円 パンツ28,000円/アトウ (アトウ 青山店 03-5474-1748)

高校生の時、部活でバスケをやっていたのですが、大会が全部終わって、引退となった時に、もうやることがないなと思っていた時期がありました。ちょうどそんな時、違う事務所の方にスカウトされて。普通にドラマとかを観るのが好きだったので、“おっ、こういう選択肢もあるんだ”と思ったのが最初で、親にスカウトの話をしたら今の事務所の方からも名刺を預かっていると知らされて最初は興味本位でこの仕事に入ったのが正直なところです。

本当に何となくから始まって、“役者になりたい!”という強い想いはなかったんです。この仕事を始めてみたら、思ったより華やかではなかったのがデビュー当時の印象ですね(笑)。
最初、僕は映画の仕事がほとんどで、何か体育会系というか、部活に近かった感じです。大人たちが一個のものに向かって、一緒の方向で頑張るっていう。そういう感じは、最初から好きでした。でも、まだその頃は、芝居が楽しいとかは、無かったんです。仕事を重ねていくうちに、楽しくなりました。

昨年は、NHK連続テレビ小説『花子とアン』とTBSドラマ『Nのために』と、映像の仕事が続きましたが、実は、僕は映像が慣れていない方で。舞台は稽古が1ヶ月、2ヶ月あり、本番までに完璧な状態を作ることが出来ますが、映像は時間も限られているし、やっぱりどこか器用じゃないと出来ない部分があるように思います。
舞台と比べると、苦手意識が実はありましたが、『花子とアン』では半年かけての撮影だったので、最初台本を見てよくわかなかったところも、3ヶ月ぐらいに突入すると、僕が演じる吉太郎だったらどうするかな?と考えられるようになりました。これまでにない経験が出来たのは大きかったです。『Nのために』も、本当に監督をはじめキャスト・スタッフが素晴らしすぎて、僕は助けられたっていう感じです。あまり自分の出ている作品をなかなか客観的に観られないんですけれども、『Nのために』は人に面白いと薦められるドラマでした。

僕は演技については、役を固めて現場に行くことはありません。もちろん、台詞は覚えます。撮影の現場に行って、凄く柔軟でいようとはします。自分で演じる役を固めて、後で崩された時ほど恐いものはないので。台詞を覚えて、現場へ行って、キョロキョロするというのを心がけています(笑)。
ただ、人間っぽさを出したいなというのがあります。演じる役の人間味。その人間のベースとなっている、格好良さとか、滲み出てくるみたいなものを、表情とか、佇まいで出せたら良いなって思いながらやっています。

究極は、台詞とかいらなくて、何か、その人がいる、存在するんだっていうことを上手く出せるようになりたいなと思いながらやっています。もちろん、最初は台本を読んで、役に入っていくまでは全くわからないんです。だから、やりながら役になっていくしかない。正直、クランクインする時とか、酷いんですよ(笑)。“大丈夫か?コイツ?”みたいな目でみられるんです。特に映像は、カメラを回す本番の前に、段取りをしてシーンの流れを作ってから、カメラリハーサルをするのですが、段取りとかシーンを理解するのが遅くてぐちゃぐちゃなんですよ(笑)。ただ、僕の場合、現場で役を固めていく方が合っているんだと思います。
そして、僕ら演じる者はなかなか俯瞰では自分達の演技を観るのは難しいことがあります。撮り方や編集によって、仕上がりは全く変わってきますからね。現場では監督が言うことを、演出されるがまま演じます。俯瞰で観てくれている人達がいるから、もう委ねるという感じです。自分ではなかなか俯瞰で観ることが出来ないので。

この仕事を始めてから僕は、喜怒哀楽が激しくなりました。それまでは、怒ったりもしなかったし。もちろん泣くとかも。
でもこの仕事で、何かスイッチがはずれたのでしょうね。自分にはこういう感情の出し方があったんだと、発見出来ました。おかげで、それから生きていくのが楽になりました。
そしてこの仕事の素晴らしさは、僕もドラマを観て楽しそうと思って“人生が変わった”のですが、ドラマや映画を観てくれる人の人生が変わったり、頑張ろうと思ってもらえたり、人生に影響をすることが出来る仕事だということです。エンターテインメントの世界にいないと出来ないことです。

僕は元々、演じることが好きだったのかもしれませんね。
僕は男子校だったのですが、役者をやる前から、友達とふざけあって、いかに面白いことを演じて笑わすか、面白いやつが一番みたいな環境だったので、今の役者に辿り着いたのかな(笑)。

歌うことも好きです。ミュージカルとかで歌えるのは良いですね。5月から劇団☆新感線の舞台に初めて出させていただきます。オールスターチャンピオン祭りというタイトルなんですが、僕、1回も出たことないのに何故オールスターに入っているんだろうって(笑)。楽しみたいですね。そして認められたいですね。劇団☆新感線を観ているお客さまに。

Focus Now KENTO KAKU Always Dramatic life

僕は、この仕事で辛いとか心折れそうと思ったことはありません。もちろん、スケジュール的にハードとかはいっぱいありますが。上手くいかないこともあります。そんなの今もそうです(笑)。でも、それが辛いとか心が折れそうとは思いません。デビューした頃は、25歳の時には僕はもうフェラーリみたいな凄い車に乗っていると思っていましたから(笑)。
結構僕、妄想癖があるので。だから、僕の来年のビジョンとか大変なことになっているんです。今の段階では。何かが起きて、5億ぐらい稼いでいる設定になっているので(笑)。だから、追いつくことはないんです、僕の理想に。
でも、本当にそのくらいの気持ちでやっています。

昨年お仕事をしていて、凄いなぁ、こんなスタンスで役者をずっとやっていきたいと思う役者さんは、朝ドラでご一緒させていただいた石橋蓮司さん!撮影の合間、石橋さんは前室で寝ていて本当に死んじゃったのかな?(笑)とか思うぐらい、おじいちゃんのように見えたりするのですが、現場では誰よりも努力される方です。もっとこうした方が良いんじゃないかとか、農作業シーンでは、誰よりも真剣に教えてもらっていらっしゃるし。もう、こんな大先輩にここまで熱心にされてしまうと、僕らどうすれば良いんだろうって思うぐらい凄いんです。
それなのに石橋さんは、ご自分のこと下手と言うんですよ。“俺は下手くそだから”と。そういう感じで何十年もされてきたのかと思った時に、本当に石橋さん、凄いなぁって。だから僕も、そういうスタンスでいれたら良いなと思います。

最近のモットーは、“全力で働いて、全力で遊ぶ”。とにかく本気で遊ぶ。僕は本当に友達に恵まれていて、オン・オフを充実させています。全力で遊ぶのが、また仕事へのパワーの源になっているんだと思います。
表参道や原宿にも行きますよ。大好きな古着屋へ行ったりもしますし。表参道はオシャレもそうなんですけれども、レベルの高い人がいっぱいいるので、気合いを入れなきゃって思わせてくれるんですよね。表参道感をちゃんと味わう気持ちで行かないとやられるぞっていう気持ちでいつも行きます。意識を向上させてくれますよね。

僕の仕事のもうひとつの原動力は、家族が僕の出た仕事を喜んでくれること。俳優という仕事はわかりやすく、家族は祖父や祖母、母が喜んでいるのは凄く嬉しいです。仕事をする上でへこむことはあるのですが、メンタルは強い方なんです。人がへこんでいる話しとか聞いていると、そんなの大したことないって思っちゃう。僕の場合は何かが違うのでしょうね。頑固っていうか、何だろう。はっきりしているのかな。好き嫌いが激しいかもしれないし。あまり良くないんですけどね。
今年はちゃんとした大人になろうと(笑)。25歳なので。真っ当なこととかをちゃんとした場で言えるかっこいい人になりたいです。憧れの大人像は、何の遠慮もしなくて良い大人なんです。ちゃんと子供心を持った大人の人。僕はそれを“コドナ”と呼んでいます。ちゃんと大人なんだけれども、感覚が柔軟というか、そんな人は理想ですね。カッコイイ。“コドナ”を目指します。

夢や目標があったり、それがわからなかったり、色々な思いを持って若い方は日々送っていると思いますが、僕はコレになりたいとかいうのがあることは大事だと思うんですけど、コレになる為には、コレしなきゃ、アレしなきゃと周りにとらわれて行動することは必要ないと思います。世間やまわりの情報、人の意見に流されずに、自分でちゃんと考えて、確かめて、自分のやりたいことを追求した方が良いと思います。
やっぱり、人の言うこととか、信用している人の言うことって聞いてしまいがちですよね、どうしても。そういう人が多いような気がします。例えば、“コレが面白い”となったら、その一人が言ったせいで、みんなが面白いって簡単に思い込んでしまいがち。錯覚しちゃう。もっと、自分自身で確かめるのは大切だと思います。だから、ちゃんと見極めて、本当に自分が何になりたいかとか、どういう人と付き合った方が良いのかを、ちゃんと考えられるようになって欲しいなと思います。

もちろん、僕の考えていることが正しいかどうかはわからないですけれども、僕は多分その好き嫌いが異常に激しいので人の意見よりも、自分の考えに、僕は自信を持つタイプです。自分の宗教に入っているんだと思います(笑)。自分教に。
でも、その方が楽ですし、自分を持った方が良いと思います。だから、表参道が“良い”って思ったら良いけれども、“苦手”って思ったら来なくても良いと思う!くらいの気持ちで生きましょう。そして、自分がやってきたことは、何か全部自分に返って来ていると思います。だから、僕はやらせていただく作品に精一杯取り組む姿勢で死ぬまでやれたら良いなと思います。着実に一生食える役者になりたいので。うん。ちゃんと仕事します!

Drama Info

2015年 劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり 舞台『五右衛門VS轟き天』

【出演】古田新太 橋本じゅん 松雪泰子 池田成志 賀来賢人
【企画・製作】劇団☆新感線・ヴィレッヂ www.g-v-g.com