TOPスペシャルゲスト > vol.38-2 三浦春馬インタビュー

Special Guest

スペシャルゲスト

Vol.38 Special Interview BEAUTY & FIGHT HARUMA MIURA

Vol.38 Special Interview BEAUTY & FIGHT HARUMA MIURA

この「進撃の巨人」に出てくる“巨大な壁”が、ストーリーの中でも象徴的な意味をもたらしている。
その“壁”について、三浦春馬はこう語った。

「この映画を観て、“あぁ何か凄い映像だったねー”って思ったり、夏休みの思い出作りにしていただければ凄くうれしいんですが、普段僕達が生きてきて、自分の中の“壁”って何だろうとか、自分の中の“巨人”って何だろうということを自分の生活に置き換えて考えた時に、また違った楽しみ方ができるんじゃないかと思います。
こうして映画で、『進撃の巨人』に関わるなかで僕が思ったのは、多分人それぞれに壁があって、それは年齢によって変化していくものだと思うんです。
例えば小学生の場合、多くの時間を過ごすのが学校の中、クラスの中で、その中だけが世界の全てになりがちだと思うんです。でも、外には自分たちが知らない世界が広がっているわけで…。進学していく中で、どんどんコミュニティーは広がっていくと思うんですが、小学生の頃だと自分で壁を壊す術をまだ知らないから、何かのきっかけで壁を壊すことが出来れば、もっと色々な考え方や、感受性が生まれるんじゃないかって思うんです。
そんなふうにこの映画が、人それぞれが感じる壁に対して考えるきっかけの一つになってくれれば嬉しいです。
この映画は、普遍的なテーマを凄くエンターテインメントにしているものなんだと感じます。そういったことも踏まえて、“自分の壁って何だろう?”とか、“もう少し高いところから、俯瞰して見ても良いのかな”って、自分の今いる現状を見直してみる。違った角度から物事を捉えることもたまには良いよねって、そういう観点が生まれたら、出演者として凄く嬉しいです。」

想いが溢れ出すかのように、ノンストップで語ってくれた。役を演じ切ることで、彼の心に育まれた想いは揺るぎなく聞こえる。そして、彼の在り方が感じられるエピソードを続けてこう語った。

「この映画は世界遺産に登録されるかもしれない頃の軍艦島でクランクインだったのですが、実際に軍艦島に降りてみると、本当に凄かったです。建物が山に沿って造られていて、通路もかなり狭く、複雑な構造をしていました。住んでいる方がいた当時は、かなりの斬新な構造だったとうかがって、そういうアイディアが沢山詰まった島でもあるんです。
また、島の中には当時の生活の痕跡みたいなものがあって、当時住んでいた方たちのエネルギーがまだそこに残っているような気がして凄く気持ちが引き締まりました。
観光客の方が入れないような場所で撮影をさせてもらったのですが、上を見上げると鉄の棒の先にコンクリートがただぶら下がっているような危険な場所が、いくつもあったんです。足下も悪く、本番以外はヘルメットを被っていなければいけないっていう規制のあるなかで、撮影させていただきました。
そういう緊張感もあってか、自分の意識を、しっかり“この地で撮影をさせてもらいます”という思いで、地に足をしっかりつけて撮影に臨まないと、この撮影乗り切れないんじゃないかって、そういう想いにさせてもらいました。
気持ちがとても引き締まったし、やはり凄いパワーを持った島だなと思いました。」

仕事への姿勢はもちろん、考察力が彼の一言、一言から伝わってくる。
そして仕事の現場では、とにかくより礼儀正しくありたいと三浦春馬は言う。

「現場では特に挨拶から一日が始まります。
“お疲れ様”と言うことや、感謝するなどの基本を忘れずに、頑張っていけたら良いなと思います。」

Vol.38 Special Interview BEAUTY & FIGHT HARUMA MIURA

子役から始まった役者という仕事、三浦春馬にとって、その仕事の魅力は何なのか聞いてみると、迷わずこう語った。

「魅力といっていいのかはわからないですが、役者のお仕事は芝居を通じて、色々な職業や生活を体験出来たり、取り上げるテーマについて調べるきっかけがとても多いんです。
例えば、消防士や救急隊員、医療関係の人達の働いている“想い”だったりとか、どういう信念を持って仕事を進めているのかということもきちんと理解して、きちんと感じた上で仕事に、芝居で表現していけたら、人としても成長出来るのかなと思っています。パワーももらえそうですし。
様々な職業の役柄を通して、その職業や働く人達がどういう悩みや困難を抱えているのかということも含めてみていけたら、凄く良いんじゃなかと思えるようになったんです。
それ自体も有り難いと思いますね。」

25歳の三浦春馬、いわゆる“ゆとり世代”と言われる年代に入るようだが、世間で言うゆとり世代像とは全く違う、関係ない生き方をしてきたのだろう。
大人社会で子供の頃から学んできたからこそ、仕事を通して学べること、そしてそれが彼自身の成長に大きな影響を与えてくれることに、心から有り難い環境だと感じているようだ。そんな彼にとっての“壁”は、何なのだろう。

「何か凄くありきたりな言葉になってしまうんですが、やはり最大の壁は自分自身だなと思います。それは、“思考の壁”かもしれないし、枠に捕らわれずに大きく考えることかもしれないし、それを破壊することかもしれません。
何かに傾倒する時間があっても良いのかなとも思います。」

三浦春馬が魅せる、芝居から伝わる“熱”は、彼のこの思考があるからこそだと思わせる言葉だった。

「大変な時や自分が挫折しそうな時に、自分を支えてくれるのは人だと感じるんです。もちろん自分自身強くなりたいっていう気持ちもわかります。でも、仕事をするにしても、遊ぶにしても、全部人との関係性のなかで成立することなので…。
出会う人を大切にすることを心掛けていきたいと、最近特に思います。
人と人との繋がりは、何にも変えられないものなので、そこは大切にしたいです。」

役を演じる、人を演じているからこそ、人とは何か、人は人との繋がりで存在出来ること感じているように思えた。
そんな三浦春馬の原動力とは何か?すると彼はハッキリこたえた。

「原動力!?原動力は教えられないですね。それは色々あるので教えられないです。」

この言葉は、三浦春馬の美学が込められているかのような印象的なものだった。彼の思考の壁は、きっとどんどん変わってゆくのだろう。そして、その壁を壊し続け、求め続け、役者 三浦春馬として居続けるのだろう。

最後に彼は笑顔で「目の前の作品に精一杯向き合っていくだけだと思います。頑張ります!」と語ってインタビューを締めくくった。三浦春馬の美学、三浦春馬の芝居は、この先も観る人を惹きつけ続けるのだろう。

三浦春馬 俳優 1990年04月05日生まれ

1997年にNHK朝の連続テレビ小説『あぐり』で子役としてデビュー。2003年大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』で武蔵を慕う少年、城太郎役を演じ、2005年連続テレビ小説『ファイト』ではヒロインに思いを寄せる少年、岡部聖也役を演じる。2006年、『キャッチ ア ウェーブ』で映画初主演。同年ドラマ『14歳の母』(日本テレビ)でヒロインの恋人役を演じて注目を集め始める。2007年映画『恋空』で、第31回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。2008年、『ブラッディ・マンデイ』で連続ドラマ初主演。その後は『ラスト♡シンデレラ』『君に届け』を含め様々なドラマや映画に出演。
また、映画 『永遠の0』では第38回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞を受賞。2011年『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ)で月9ドラマ初主演。2014年ドラマ『僕のいた時間』(フジテレビ)で主演し、第51回ギャラクシー賞 個人賞受賞。

Brand New MOVIE

映画
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』前篇
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
 エンド オブ ザ ワールド』後篇
2015年8月1日・9月19日連続公開

2009年10月号(創刊号)の「別冊少年マガジン」にて連載が開始されるや否や、予測不能なストーリー展開が世界中に衝撃を与え、累計発行部数は5000万部を突破している漫画「進撃の巨人」。監督に樋口真嗣、そして日本映画界・アニメ界・特撮界が誇る各分野最高峰のスタッフが集結し、ついに実写映画化が実現。
原作者・諫山創の監修の元、原作の世界観やキャラクターをベースに、映画版として新たなキャラクター、新たな強敵を盛り込んだストーリー。100年以上前、巨人たちの餌となり絶滅の危機に瀕した人類。生き残った人々は、巨人から身を守るために巨大な壁を築き生き延び、巨人のことは伝説となりつつあったある日、「超大型巨人」や「鎧の巨人」が出現。幼いエレンとその幼馴染ミカサやアルミンは命からがら逃げ延びるも、大事な人を亡くしてしまう。
数年後青年になった三浦春馬演じるエレンたちは、巨人への復讐を胸に秘め、訓練兵団に入団。エレンは、壁の外での任務を引き受けるため軍の中で最も危険な調査兵団を目指す。
しかし卒業間近、再び「超大型巨人」が襲来。後編へ続く予測不可能な展開に注目。

出演:三浦春馬 長谷川博己 水原希子 本郷奏多 三浦貴大 桜庭ななみ 松尾諭 渡部秀 水崎綾女 武田梨奈
/ 石原さとみ / ピエール瀧 國村隼
原作:諫山創 (講談社「別冊少年マガジン」連載中)
監督:樋口真嗣 特撮監督:尾上克郎
脚本:渡辺雄介 町山智浩

©2015 映画「進撃の巨人」製作委員会
©諫山創/講談社