
スペシャルゲスト

Photo:Satoshi Miyazawa(D-CORD management)/PhotoManipulator:Satoshi Ozawa,Rika Imai(FIGHT CLUB CO.,LTD)
Hair & Make up: SHIGE (H-BBB) /Styling:Yuka Ogurra(commune)
ワンピース 77,000円/MSGM(アオイ 03-3239-0341) ネックレス 73,000円/ロドリゴ ニューヨーク バイ ロドリゴ オタズ(ロックワン株式会社 03-4530-0333)

女優、柴咲コウ。歌手、柴咲コウ。彼女のプロフィールを語ろうとすると、どの作品も、大ヒット作という言葉がついてくる。しかも、その記憶は、印象的なものばかり。女優として、映画、ドラマでは、出演する作品は常に話題に上がる。そしてアーティストとして、彼女の歌声、歌詞は多くのファンを魅了する。実力は、ミリオンセラーを出すほど。芝居、音楽、作品のひとつ、ひとつに、“柴咲コウ”が強く心に焼き付けられるのだ。なぜ、彼女はこんなにも心に思いを残す存在なのか。今回、本誌独占取材に答えてくれた柴咲コウのその姿から、彼女が向き合う全てに、いつだって真っ直ぐに向き合っていることが伝わってきた。ひとつ問いかけると、彼女の思いは間髪入れずに溢れ出すかのように答えが出てくる。潔く、ゆるぎなく、真っ直ぐに、我が道を行く。論理的な思考だけではない、彼女の熱を持った思い。柴咲コウの魂がそこにはあった。
「例えば、ある役割が与えられて、その中で頑張るのも良いのですが、私の場合、役割を全うすると言うよりは、自分自身がそのこと自体に対して“ドキドキするかどうか”に限ると思います。自分の心がドキドキしていないのに、それを一生続けるのは苦痛でしかないです、私にとっては。」柴咲コウが迷わずそう答えてくれたのは、2016年1月23日に全国公開の映画『信長協奏曲』(ノブナガコンツェルト)のストーリーで象徴されているテーマと、自身の人生観を重ね合わせて語ってくれた一言だ。
この劇場版『信長協奏曲』は、2009年「ゲッサン」(小学館)で連載をスタートした大ヒットコミックが原作で、2014年、開局55周年を迎えたフジテレビの大型プロジェクトとして、アニメ化され、そしてドラマ“月9”で放映された。小栗旬、柴咲コウをはじめとする豪華キャストが集結した『信長協奏曲』は、“織田信長が実は現代からタイムスリップした高校生だったら・・・?”という奇想天外なストーリー。時代劇でありながら、幅広い層の視聴者に支持され、高視聴率を記録した作品が、最終章となって映画化された。戦国時代を生き抜く、当時の女性の役割、その時代背景と現代を照らし合わせながら、柴咲コウは、客観的に作品のメッセージや魅力について、真っ直ぐ語ってくれた。

「自分が出ているものなので、100%客観視というわけにはいかないですけれども、自分が最初に台本頂いて、そこから構築されて、自分が映っていないところも含めて観るのは初めてでしたので、私自身、懸念するところもありましたが、観やすい作品に仕上がっています。悪い役だから嫌いとかそういうことで終わるような話ではなくて、きちんと、登場人物それぞれの感情というのが描写されています。どんな立場の人物でも、生きて行く使命や役割があり、色々な矛盾の中から人間関係は生み出されているんだなというのを伝えてくれるような、そういうメッセージが作品から伝わってきました。」
天下統一を目指す、織田信長。そして本能寺の変。裏切り、暗殺、陰謀が渦巻く、戦国時代のストーリーに、矛盾の中から生まれる人間関係という作品の深いメッセージを柴咲コウは、鋭く感じ取っていた。“月9”ドラマのスケールを飛び出した、まさに劇場版の魅力を、開口一番、迷うことなく彼女の印象として語ってくれた。そして、続けて、彼女らしい鋭い視点で映画の魅力を話し出した。
「ドラマでは、シリアスという視点ではなく、小栗旬さん演じる高校生・サブローが信長としての中で、彼らがどう動くかということによって、史実と切り離して観る部分がたくさんありましたが、今回の映画では主人公のサブローが成長したことによって、色々なつじつまとは言わないけれども、それぞれの人間性、立ち位置がしっかりと確立されていたような気がします。また、私が演じさせていただいた帰蝶とサブロー、信長も、絆がしっかりとあった上での、小競り合いのシーンは安心して観られるところかなとは思いました。」
主人公の成長と共に、ドラマから映画へ。ストーリーや描写の繊細な表現について、100%客観視というわけにはいかないと言いながらも彼女は、自分の出演作を俯瞰で観ていることが伝わってくる。そして、俯瞰では終わらないのが、柴咲コウの視点。まるでカメラのレンズのように、事柄をフォーカスする思考は、とても彼女らしさが感じられる。柴咲コウが演じた帰蝶について、戦国時代の女性の生き方と現代の女性の生き方について、リアルな社会を肌で感じながら生きている。そんな答えが返ってきた。
「未だに、現代の私達、女性は過渡期を生きている時代かなとは思います。例えば、女性が政治のトップになるなど、そういったことがない限り、歴史的な先入観や培ってきたものは、なかなか覆らないことだと思います。まだそういった成長の最中に、現代の私たちはいると思います。ですが、昔とは比べものにならないくらい、個人を尊重する世の中に確実になってきていると思いませんか?ジェンダーフリーなど最近でこそ関心が高まってきていますし、男性だから、女性だからということも、全く無くなったわけではないですが、柔軟に性では分けられないものが、認められてきていて、個人を尊重する時代にはなってきていると思います。それぞれの能力というのが、性だけでは分けられない。こういった意識は、徐々に若い世代には浸透しつつあるかなと思いますね。」
今の社会を、肌で感じながら彼女は生きている。そして、柔軟な発想を持ち、自身の信念を持ち続けていることこそが、彼女の表現するものに思いを宿すのかもしれない。

今回の映画『信長協奏曲』では、彼女が語ったように、どの登場人物にも生き様があることを感じさせる作品だ。戦国時代、それぞれの立場で戦う姿。その役割のようなものを、彼女は自身の人生と重ね合わせて、どう考えるかを訊ねてみると、ブレない彼女の生き方が見えてきた。
「心がドキドキするかどうかに限ると思います。こういう役割が与えられたから、その中で頑張るのも良いと思いますが、私の場合は自分の心がドキドキしていないのにそれを一生続けるのは苦痛でしかないです。役割と自分のドキドキが合ってくると楽しいんじゃないかなとも思いますし。私は嫌なことを我慢してできるタイプではないので(笑)。だから、結果こういう芸能の世界で、私は生きているのだと思います。未来に保証がないのが嫌だと思う人もいるし、考え方は人それぞれです。未来の保証がないと不安になってしまう人が、明日、一年後のスケジュールがどうなるか分からないみたいなお仕事は向いていないと思いますし。そういう向き不向きはあると思います。」
未来の保証より、今の自分の心がドキドキすることが大切と言い切る姿。それが柴咲コウの、生きる道を示しているように聞こえた。そして彼女は、こう続けた。
「例えば、AとBどっちが良い?となった時に、“安心”を取る、“ドキドキ感”を取るにしても、私の場合は“楽しい方”という風に決めています。例えリスクがあったとしても、そっちにどうしても魅かれちゃうなと思ったら、魅かれる方をどうしても選ばないと後悔すると思うので。」心が動くことに正直な彼女の人生の選択には、きっと後悔という言葉はないのだろう。「人それぞれ様々な選択があると思います。保障が欲しい、安定が欲しい。どっちの選択をしたとしても、自分の心が落ち着くのであればそれでいいと思います。」
きっと、彼女は様々なシーンで選択を強いられ、その都度、自分と向き合ってきたのだろう。
「私みたいな生き方すればハッピーというわけでは、決してありません。本当に人それぞれです。水のように流れたい人もいれば、土のように固い地盤をつくりたいっていう人もいると思いますので。そして、人は歳を重ねていくことで自分の本来の性質というか、本質というのがやはり見えてきやすくなるとは思うんですよね。」
彼女の歩んで来た経験からくる言葉は、深く体温を感じられる。


















