Lifestyle ライフスタイル

Omosan SDGs Report
vol.02 lucifer research 株式会社

Lifestyle

Vol.076

2021.12.04

前号よりスタートした、ここ表参道・渋谷の街における企業やお店が取り組んでいるSDGsはどんなことなのか?まずは知り、一緒に考えてもらえるように、ご紹介する新コーナー「Omosan SDGs Report」。第2弾は、「lucifer research 株式会社」の代表取締役の神 真美氏にお話を伺いました。インドの伝統技術やファッションをモダンにリデザインしたアパレルブランドを展開。文化を継承し続けるだけでなく、働く人への配慮や無駄が出ないシステムの構築など多くの事に取り組まれています。

「lucifer research 株式会社」の展開する、「Pasand by ne Quittez pas(パサンド バイヌキテパ)」は、インドの伝統的テクニックを取り入れたサステナブルライフスタイルストアです。なぜ、神さんはSDGsに注目したものづくりを始めたのでしょうか。『以前イギリスに住んでいたのですが、イギリスは環境問題に対して国全体の意識が高く、気にせざるを得ない状況だったので、シャンプーや洗剤とかは全て環境に配慮したオーガニックを選ぶなど習慣として身につきました。そのため会社を立ち上げる時、特別サステナブルなビジネスと意識して目指したつもりはなく、当たり前の事をしているという認識でした』と、イギリス在住時の約20年前からSDGsは身近な存在であったと語る神さん。インドでのものづくりのきっかけを聞くと、『当時、日本ではコットンボイルを使った洋服があまりなく、“夏はこんなに暑いのに、どうしてインド素材の洋服がないんだろう?”と不思議に思い、そこに着目してビジネスをスタートしようと決心しました。そして何より、インドの方達は“心”が寛大。ずっと変わらない大陸的な寛大さに惹かれて、何十年何百年も引き継がれているインドの方のテクニックを尊重したいと肌で感じたんです』と教えてくれました。『インドで、労働環境も悪く安いお給料で働いている人々を見て、私はそういうお洋服は売れないと思っていました。やはり、ものづくりに携わる全員が、自分のポジションにやりがいと幸福を感じられないと、いいお洋服は作れないと思うんです。社員一丸となって生産者一人一人の生活が成り立つようなビジネスモデル作りに力を入れています』と20年間インドと仕事を続けられているのもお互いの信頼があるからと語ってくれました。『このお店が雑誌に載ったりすると、写真を撮って現地に送るようにしているんですよ。作った洋服が何かに出たりするとすごい喜んでくれて。作ってくれる方とお金だけの関係だけではなく、やる気とか意欲だったり喜びをシェアすることを意識して、ハッピーなサイクルを大切にお仕事をしたいです』と神さん。心の豊かさ、生活の豊かさがあればビジネスにも人生にもいい循環が生まれる、そして寛大に生きることが人生を豊かにする。この言葉を胸に、自分にとっての豊かさとは何か?考えてみてはいかがでしょうか。

Profile
「lucifer research 株式会社」代表取締役 神 真美
「ne Quittez pas」、「UPALA」のディレクター兼「Sara mallika」、「mala KALANCHOE」含む4ブランドのプロデューサー。1997年に渡英。渡英期間中に訪れたインドで現地のメンズブランド“itoh”のディレクターAmit Babbarと出会う。彼との出会いをきっかけに、2003年にインドでのものづくりをスタート。彼との関係性はビジネスパートナーとして現在までつづいている。同年「ne Quittez pas」、大手セレクトショップのOEMを始める。2005年に帰国後、インド生産のOEMビジネスを拡大し2017年に「Sara mallika」、2020年に「mala KALANCHOE」、「UPALA」のブランドを展開。2020年3月より弊社取扱ブランドに加えて、ライフスタイル雑貨をはじめとするPasandオリジナルアイテムやセレクトアイテムを展開するライフスタイルストアとして“Pasand by ne Quittez pas”をオープン。

 

生産者との信頼関係がハイクオリティなものづくりへ繋がる。
働く人へのケアを決して忘れない「Pasand by ne Quittez pas」。

インドの伝統的な文化やテクニックを取り入れ、
未来への発信を忘れないものづくり。

インドの伝統技術をモダンにリデザインしたライフスタイルストア「Pasand by ne Quittez pas(パサンド バイ ヌキテパ)」のアイテムにはインドで生まれた“余剰生地”と伝統的なテキスタイル文化“刺しゅう”を取り入れています。インドでの“過剰生地”をリサイクルし、作られたエコファイバーやオーガニックコットンなど、天然由来の原料から生まれた素材を中心に扱っており、インドの刺しゅうの中でも代表的なテクニックの一つである“チカン刺しゅう”を施したアイテムを展開しています。北インドのウッタルプラデーシュ州のラクナウの街で生まれた“チカン刺しゅう”は、36種類もの技法を組み合わせて、一つ一つ手作業で繊細な模様を描き出すのが特徴です。

「Pasand by ne Quittez pas」では、インドの伝統技術・文化を守り、未来へと継承するサポートを行うために、ウッタルプラデーシュ州モディナガル地方に住む女性たちにこの手刺しゅうの仕事を依頼しています。他にも、“ファインジュエリーを日常で身につけてコーディネートを楽しんでほしい”という想いから誕生したブランド「UPALA(ウパラ)」では、18Kイエローゴールドと天然石を使用し、インドの熟練した職人たちが手作業で製作したジュエリーを展開しています。手仕事と天然石ならではの色味や風合いが一つ一つ異なり、唯一無二な一点物が魅力的なアイテムが揃っています。

 

生産の過程で出た残布をアップサイクル!
「Pasand by ne Quittez pas」が考える無駄のない循環システム。

「Pasand by ne Quittez pas」では、生産後に余ったファブリックを、パートナーシップを組んでいるインドの工場に“おまかせ”で、アイテムの製作を頼んでいます。ポーチやクッションカバー、バッグなど約30ほどの型から選ばれたものをインドで製作し、それらを全て買い取り「Pasand by ne Quittez pas」で販売しています。それでも生地のロスは、どうしても出てしまうもの。無駄が出ないようにするには、どうしたらいいのか?とインドの工場の人たちが頭を悩ませ、考えついたのが初の“Kidsライン”。動きやすいカボチャパンツや、ワンピースなどインドの色彩感覚あふれたカラフルなデザインが豊富です。それでも余ってしまった残布は、インドの公立小学校への寄付を行っています。その残布を使用し、現地の学校のワークショップで鍋置きやバッグやラグ作りを体験してもらうことで、自国での伝統的なものづくりへのアウェアネスを高める取り組みをしています。

「Pasand by ne Quittez pas」の洋服を作った際に出た残布を使用しているので、ママとお揃いのコーディネートも楽しめるサステナブルなコレクション。『Kids 2 Pumpkin Pants With Pouch』(5,500円)。

Pasand by ne Quittez pas

TEL:

03-6427-9945

営業時間:

平日12:00〜19:00 土日祝 12:00〜18:00

住所:

港区北青山3-7-3

URL:

https://www.nequittezpas.jp

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