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Omosan SDGs Report vol.07 D-VEC

Lifestyle

Vol.081

2022.11.15

Omosan SDGs Report 第7弾は、釣り用品を主力とする総合スポーツメーカー・グローブライド株式会社より誕生したD-VECをフォーカス。フィッシングのDAIWAが持つ技術力を都会のアクティビティーへ進化させ、廃棄漁網のアップサイクルでアパレル業界に新風を巻き起こす、グローブライドの執行役員 小林謙一氏にお話を伺いました。

昔から「Think Clean」の活動として、釣り場のゴミを清掃する活動を続けてきたDAIWA。2009年10月には、その活動を「BE EARTH-FRIENDLY」と改め、釣り場のクリーンナップだけでなく、子供たちに自然環境の大切さを伝える活動や、環境と調和する新しい時代への取り組みを積極的に行っています。そしてここ表参道では、グローブライドが運営しているファッションブランド、D-VEC(ディーベック)を展開。D-VEC はDAIWAの持つ技術・自然環境の中でも快適に着用できる機能性・ファッション性といった、まさに時代が求めていた魅力の詰まった人気のブランドです。そんな取り組みに挑戦し続けるのが、小林氏。今年開催されたRakuten Fashion Week TOKYOでは、DAIWAの環境保全活動の一環として取り組んでいる「漁網アップサイクルプロジェクト」のイベントを行い、注目を集めました。『世界中の海をフィールドにするDAIWAにとっても海洋環境の悪化は大きな課題です。そこで私たちが取り組んだのが、漁で使われなくなった漁網を再利用し、機能的なレインウェアとして生まれ変わらせ、漁協関係者の元へ還すという、完全循環型を目指すアップサイクルプロジェクトです。2年くらい前にリファインバース株式会社からのお声がけでスタートしました。廃棄魚網を溶かして、ケミカルな処理をほとんどしないで、糸にする。これは環境負荷が低く出来るんです。ただ廃棄漁網の不純物を完全に取り除いて作るので、ちゃんとしたものにするまでに難しい工程がいくつもあります。ゆえにコストが高くなり、それをどう吸収するか。どんなターゲットに買ってもらえるのか。サステナブルな取り組みではあるが、ビジネスモデルとしては一筋縄ではいきません。軌道にのせるまで、本当にたくさんの問題があります』と小林氏。今回の漁網アップサイクル素材を使ったレインウェアは、漁師から約2,000枚のオーダーが入っているのだそう。漁師にとっても、環境の為に貢献出来る事は大変喜んでもらえているのだそう。『若い方も、漁師もそうですが、環境問題について自分でアクションしたくても、何をしていいのかわからない。でもこういったウェアを買うことで貢献出来るのは嬉しい。という声を聞き、それが私の中でヒントとなりました。環境問題について、問題は山積みです。しかしながら、完璧にならないとまずいのでは?と考えがちですが、そんなことを待っていたらダメなんです。9個出来てないことがあっても、1個出来ていたらやること。全て出来ることを待っていたら物事は進みません。進むことが大事なんです。1個進めてそこで課題が出たら、対策をうっていけばいいんです。一歩一歩でいいんです』小林氏の言葉どおり、前に進むことに向かっていれば、果てしない問題も想像以上に飛び越えることが出来るかもしれません。

Profile
「DAIWA」グローブライド 株式会社 執行役員 小林謙一
2017年3月にグローブライド株式会社からD-VECがローンチ。同年同月、原宿キャットストリートに路面店 D-VEC TOKYO(現 在は移店)をオープン。2018年、外苑前の「ifs未来研究所」(Itochu Garden 内)にショールーム(現在は移店)をオープン。2019年2月、表参道ヒルズに「D-VEC TOKYO EXCLUSIVE」をオープン。

 

フィッシングブランドが新発想で挑み続ける、 漁網アップサイクルプロジェクト

今までは埋め立て処理を行なっていた廃棄漁網が、漁師のレインウェアに!

海洋プラスチックごみは、海洋ごみの中でも深刻な問題。そのプラスチックごみの多くが陸上で発生しているものですが、海で発生するものもあるのだそう。その一つが漁網。廃棄漁網は一度海に流れると船のスクリューに絡まったり、海洋生物が誤飲したりとその命を脅かしています。そんな廃棄漁網はこれまで完全に土に埋められ廃棄されていましたが、DAIWAでは「BE EARTH-FRIENDLY-漁網アップサイクルプロジェクト-」として、廃棄漁網から機能的なレインウェアに生まれ変わらせて、漁師の元へ還すという完全循環型を目指すアップサイクルをスタートしました。

まず使用済みの漁網を綺麗に洗浄し、ブロック状に圧縮して取り扱いやすい形に変えます。不純物を取り除き細かく裁断して溶かし、細い糸に加工。その糸を織り、生地へと生まれ変わっていきます。この工程は、環境負荷の少ない方法で加工をしているため、手間と時間がかかるのです。今年3月に開催されたRakuten Fashion Week 2022A/Wでは、表参道ヒルズにてこのプロジエクトの展示を行いました。実物の展示は、会場を訪れた人たちも驚くほどの迫力と説得力。DAIWAの新しい取り組みは、より多くの人たちに環境問題を周知し、問題解決に向けて起点になっていました。

 

過酷な漁の仕事で使う
レインウェア向けの素材なので、耐久性や防風性も抜群。

漁網に使われている素材のナイロンは、石油由来の化学繊維です。漁網を再利用することは、脱炭素にも繋がります。また廃棄漁網から作られた生地で作る漁師のレインウェアは、雨風が強い、船上の過酷な環境下で使用するため、漁師から仕様についてのリクエストをもらいデザインをブラッシュアップ。耐久性はもちろん、非常に軽くて快適、防風性も抜群。来春には約2,000着を販売する予定なのだそう。漁で使っていた漁網が、漁で着るウェアとなって還ってくる。漁師にとってのモチベーションも上がることが期待出来、喜びも循環型です。

 

産学連携のプロジェクトによる特別展示とコンテストも開催。

Rakuten Fashion Week 2023 S/Sでは、2022年3月に始動した「BE EARTH-FRIENDLY-漁網アップサイクル-」の第2弾として日本最大のファッション専門教育機関である文化学園、そして日本で唯一の国立総合芸術大学である東京藝術大学、この2校の学生とコラボレーション。特別展示とコンテストも行われました。“海の世界から生まれ変わるアップサイクル”をテーマに、文化学園の学生がファッションアイテム制作をし、東京藝術大学の学生は会場構成を担当。このコンテストがきっかけで、自分でも環境のために出来ることを知ってもらえたり、アップサイクルがファッションの新しい可能性やビジネスモデルを生み出すきっかけになると、小林氏は語っていました。

D-VEC TOKYO EXCLUSIVE

COVID-19 の影響により営業時間変更の場合がございます。公式サイト等をご覧になってからのご来店をお薦めいたします。

TEL:

03-3405-8855

営業時間:

11:00 ~21:00

住所:

渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ B1F

URL:

https://d-vec.jp/

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