ライフスタイル

Art Stop by Omosan
Lifestyle
Vol.099
2025.10.20
Vol.01 Pablo Picasso
南青山・骨董通りに佇む「gallery KASAI」。このギャラリーを主宰するのが、代表の葛西寛氏です。
アートを難解なものではなく「もっと身近で楽しめるもの」として発信し続ける葛西氏が、
読者に向けてアートの魅力を解き明かす新企画がスタートします。
第一回のテーマは、20世紀最大の巨匠パブロ・ピカソ。
誰もが知る存在でありながら、「なぜこれほど偉大なのか」を説明できる人は多くない。
今回はOmosan STREET編集部の梶尾が葛西氏の元を訪ねてピカソの魅力を探ってみました。
ピカソはなぜここまで偉大なのか?
梶尾(Omosan STREET編集部)
今回のテーマは 20 世紀最大の巨匠、パブロ・ピカソです。名前は誰もが知っていますが、改めて「ピカソってなぜそこまで偉大なのか?」、その理由を教えていただけますか。
葛西(gallery KASAI 代表)
一言でまとめるのは難しいですが、まず特筆すべきは作品数の多さです。ピカソは生涯でおよそ15万点もの作品を生み出し、世界で最も多くの作品を残した画家としてギネス記録を持っています。さらに革新性でも群を抜いています。彼が確立した「キュビズム」は、それまで“美しいものを眺める存在”だった絵画を、“見る人が考え、答えを探す存在”へと変えました。これは絵画の概念そのものを揺るがす大革命だったのです。もっと深くお話ししたいところですが、今回はシンプルに。詳しく知りたい方は、ぜひgallery KASAIで直接お話しできればと思います(笑)。
梶尾
なるほど…。革新性と圧倒的な作品数。では、没後50年以上経った今もなお、多くの作家に影響を与え続けている理由は何でしょうか?
葛西
作家が後世に名を残す上で大切なのは、自らのスタイル=アイコンを築けるかどうかです。多くの画家は生涯をかけても1つのスタイルを確立できませんが、ピカソは6~7ものオリジナルスタイルを生み出しました。しかもそのいずれもがアート史に刻まれる革新的なものでした。こうした多面的な表現力と創造力が、彼を唯一無二の存在にしているのです。例えば現代の巨匠ディヴィット・ホックニーも、若い頃からピカソに魅了され挑戦を続けてきました。晩年のピカソと交流のあった版画師と共に作品を制作し、亡きピカソにオマージュを捧げています。背景を知ってから作品を見ると、まるでピカソと“作品を通じて対話している”ように感じられるのが面白いところです。アートの魅力は、ただ目にするだけでなく、知識や物語を重ねることでより豊かに広がるのです。
梶尾
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
葛西
ピカソはこんな言葉を残しています。「子供は誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」アートは決して特別な人のものではなく、誰もが自由に楽しめるものです。この連載を通して、読者の皆さんが日常の中に新たな視点を見つけ、アートを身近に感じていただければうれしく思います。
David Hockney What Is this Picasso?
1976-7年 42.0×34.0cm
エッチング 200部
ホックニーに大きな影響を与えたのは、パブロ・ピカソ。幼い頃、テート美術館で開催されていたピカソ展をみた際に心打たれ、本格的に画家の道を歩み始めます。そんな憧れのパブロ・ピカソの最晩年の版画を手がけていた摺師と出会い、ホックニーは間接的に敬愛するピカソと対話を交わすようになります。空間認識についての意欲的な実験を繰り返し、ピカソのキュビズム的な世界観の中で再発見をするとともに、摺師から学んだ新たな技法を用いて版画集「Blue guitar」に取り組みました。本作はその一枚です。
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