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Art Stop by Omosan

Lifestyle

Vol.102

2026.04.20

Vol.04 Banksy

ようこそ、南青山・骨董通りの「gallery KASAI」へ。代表・葛西寛氏がまるでストーリーテラーのようにドラマティックに語るアートの世界は、驚きの連続。今回はバンクシーを紐解きながら、編集長をも虜にした魅惑のトークで絵画オークションの裏側に迫ります。名画の背景に触れるたび、アートの世界が愛おしくなっていくかもしれません。

 

バンクシーで読み解く、オークションの興味深さ

編集長
今回のテーマは、「絵画オークション」。すごく興味があります。

葛西
有名なのはSotheby’sやChristie’sのような世界的オークションハウスで、アーティストにとってそこに作品が出品されたら世に名が知られた証であり、世界市場を見られる場所とも言えます。

編集長
歴史的な出来事で印象的なものはありますか?

葛西
はい。それがまさに今回ご覧いただく絵画が語っているのですが、時代は遡ること1987年。ロンドンでオークションが開催されゴッホの『ひまわり』が50億円以上で落札されました。当時は、史上最高額で名作を日本企業が落札したことに、ヨーロッパでは「本当に価値が分かるのか?」と賛否両論が沸きました。しかし現在は300億円以上の価値があるとも言われます。価値を掴んだかどうかは未来に評価されるもの。オークションで名画を手にするチャンスの重みを、改めて実感します。

編集長
一点物の絵画は、いくら積んでも縁がなければ買えない世界ですね。

葛西
おっしゃる通りです。一番高額で手を挙げた人が名画を手に入れ、その価格が価値になる。オークションとはまさに資本主義を象徴するそのもの。そんな時代背景を元に、いわゆる現代アートとして世を騒がせたアーティストが登場しました。その名は、バンクシーです。ご覧いただいている本作のタイトルは『Morons』。直訳すると“愚か者”。先述したゴッホ『ひまわり』のオークションの様子を記録した写真をベースに制作された作品で、元々、ゴッホ『ひまわり』が置かれていた場所には、「I Can’t Believe You Morons Actually Buy This Shit.」(こんなものを高額で買うお前らみたいな愚か者が信じられない)という強烈なメッセージが描かれています。資本主義に飲み込まれたアートへの皮肉です。

編集長
かなり挑発的ですね。

葛西
2000年代初頭、駆け出しの頃は数万円だったバンクシー。オークションハウスに出始めた途端、今では価格は数十億円へ。批評さえ市場に取り込まれる構造ですが、それこそが資本では計りきれない魅力を持つ、絵画の世界なのです。

編集長
価格は単なる指標だが、人はそこに価値を再認識してしまう。

葛西
その通りです。『Morons』は、その矛盾を突きつけている作品なのです。そんなバンクシーのメッセージと共に、今後のアート界隈における動向に目が離せません。

 

Banksy『Morons(sepia)』

2007年/76.1×56.5cm/300部/シルクスクリーン
2006年、バンクシーが世界進出を目指し、ロサンゼルスで衝撃的なエキシビション「Barely Legal」を開催。この会場で『Morons』を限定販売しました。“こんな作品に、こんな高額なお金を使うなんて”と皮肉とダークユーモアが効いたバンクシーらしい作品です。2006-7年の発売時には数万円程度だった本作が、今や作品価格は100倍近くも上昇。本作の内容は投資の商品と化したゴッホ『ひまわり』を皮肉った作品ですが、20年近く経った今まさにバンクシーの作品がゴッホのようになっています。

 

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