TOPエンターテイメントOmosan Angle vol.15 ワカマツ タダアキ

Omosan Angle

オモサンアングル -フォトコラム-

オモサンエリアで活躍する
クリエイターのフォトコラムを紹介します。

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13歳(中1)の夏、友達を出し抜こうと、一人で、あこがれの街「原宿」へ。
駅から降りるとあまりの人の多さにひるんだ。
ぶつかる人の背中にいくつものドラマを感じて、悲しくなって、何も買わずに帰った。
いや、何も買えずに帰ったほろ苦い原宿デビュー。

16歳(高1)になって竹下通りにあった親父の古着屋でバイトしたのが始まりで、
17年間ずっと、僕はこの街にいる。

雑誌やショーのモデル、明治通りにあったカリスマ洋服店の販売員、
遊歩道にあった親父のレザークラフト店の手伝いと幾つかの淡い変遷をここで経てきた。
すごくリアルでビターな青春も、「今、ここで僕は生きている」と思えた。
ここで僕は大切に夢を紡いできたんだ。

原宿や表参道をこよなく愛する様々な人々との“縁”にもとても感謝している。
僕にステージを与えてくれた恩人。同じく夢にむかって自己表現を続けるクリエイター。
ファッションが好きで好きでたまらないと熱く生きる人々。
たくさんの人を包み、たくさんの人と夢を見てきた街。僕を育ててくれた街。

2004年、初めて念願のQ-pot.(旧)本店を出すとき、僕は迷わず
大好きな神宮前6丁目の裏路地を選んだ。そこはまさに、ビルとビルの間
1メートルもない隙間のような道を通らないとたどり着けない場所だった。
しかも、明治通りから20mくらい入っただけのその場所には、
昔にタイムスリップしたかのような静かでこじんまりとした住宅街が残されていた。

“都会の真ん中に、あるはずもない住宅街”というギャップだけで、ファンタジーを感じた。

2009年、移動した新しいQ-pot.原宿本店は、南青山3丁目。青参道。
やっぱり、探さないとみつからないような、そんな場所に店を構えた。
簡単に見つからないけれど、店にたどり着いた時、心に探し当てた喜びが広がるように。

Q-pot.と大都会を結ぶ細道は、僕にとっては“リアルな現実”から
“ファンタジーの世界=ワンダーランド”につながるウサギの穴のようなものだ。

今日も僕は、この表参道を舞台にウサギの穴を探している。
自分らしく生きながら、自分らしく夢を追いかけ続ける・・・。
人生って、なんだか愉しい。

写真・文 / ワカマツ タダアキ

ワカマツ タダアキ

GLAMOROUS co.,ltd.代表/デザイナー

1977年生まれ。アクセサリーデザイナー・勢馬一正氏に師事し、2002年アクセサリーブランドQ-pot.を立上げる。現在、広告・映像プロデュース、ファッションブランドやスウィーツブランドとのコラボレーション、パリでの大規模なインスタレーション等、アクセサリーの枠を超え、多岐にわたり展開中。"スウィーツ文化"をつくり出したパイオニアとして、<ポジティブアクセサリー>を世界中で展開し"笑顔の連鎖"を広げ続けている。

Q-pot. OFFICIAL WEB SITE

http://www.q-pot.jp/shop/