TOPエンターテイメントOmosan Angle vol.13 ウノサワケイスケ

Omosan Angle

オモサンアングル -フォトコラム-

オモサンエリアで活躍する
クリエイターのフォトコラムを紹介します。

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表参道をはじめて訪れたのは10代後半。
「かっこいい大人になりたくて」家を出た夏の日。
その日は晴れ、時々曇り。
並木道のあざやかな緑、眩しい夏の光と樹々の影とのコントラストを、
今でも鮮明に憶えている。

そのころは将来の夢も朧げなまま、毎日が真夏のようにワクワク、ギラギラしていた。
お金もなく住処も無かった。昼はクリーニング屋で働き、夜は竹芝や横浜に停泊している小さな貨物船でアルバイト、そのまま船に寝泊まりしていた。
おかげで毎晩、船から見えるロマンティックな夜景を独り占め。
2セットしか無かったTシャツとジーンズはいつも洗い立ての真っ白な香りがしていた。
憧れのデザイナーになりたくてデザイン事務所へ面接の日々。
アシスタントデザイナーとしての1年目は銀座、その後3年間は
表参道の青山学院の裏手にある事務所に自転車で通った。
仕事帰りに自転車でぶらつく深夜、閉店後のショーウィンドーを眺めながら、いつの日か自分もと夢見ていた。

23才。フリーランスになって直ぐ、英語なんて少しも話せなかったが、
作品を売り込むためにニューヨークへと旅立った。
暑い夏の日差しが、アスファルトにビルの影をクッキリと映し出していた。
翌年の秋、ニューヨーク近代美術館(MoMA)からクリスマスカードが発売された。
数年前、表参道にMoMAショップがオープンして、
東京でも自分のカードに会えるようになった。
表参道とニューヨーク、どちらも光と影、樹々の緑が美しい街。不思議な縁を感じる。

3年前、日本の伝統・職人の技をコンセプトにしたセレクトショップ
「表参道・Rin」のブランディングを手掛けた。
日本各地から職人の技が光る一級品が集まった。
ここ表参道は日本の伝統・今・未来の姿が集まる場にふさわしい。
今・未来を妄想しながら夏の緑が美しい表参道、
静寂な裏道の表参道を歩いている。

写真・文 / ウノサワケイスケ

ウノサワケイスケ

デザインディレクター / グラフィックデザイナー

1964年、東京都生まれ。1987年、フリーランスとして活動開始。1995年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)よりクリスマスカードを発売開始。以来、毎年新作を発表。主な仕事にヴァージン・アトランティック航空、川崎市シンボルマーク、スターフライヤー、シマダハウスなど。
企業 CI、ブランディング、商品開発などを手掛けている。「TENT LONDON 2009(イギリス・ロンドン)」にてオリジナル作品「EROTIK A U*K」を発表。今年6月、株式会社NUTS社「NUTS COLLECTION ART WATCHシリーズ」からリストウオッチ「YES LOVE」を限定999本発売開始。秋にはMoMAクリスマスカードの新作が発売される。

ウノサワケイスケ公式ホームページ

http://unosawa.com/